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こんにちは。浜松市の工務店、ほっと住まいるの栗田です。

皆さんは家とか土地を購入しようとするときに『○○坪くらいの広さが欲しい』・・・と自然に口にしていませんか!?

考えてみれば義務教育で教えられる広さの単位は坪ではなくて㎡なのに、家づくりとなると単位の主役に坪が躍り出てくるのは不思議な感じがします。
家とは関係ありませんが、日本酒なんかは○○㎖ではなく○○合、○○升というように勘定しますし、昔からの単位って割と生活の中で息づいているものです。

そんな中で、普段から長さの単位として馴染みがあるのはセンチメートルやメートルかと思いますが、家づくりにおいては『寸』、『尺』といった単位が今もって現役で使われています。


尺モジュールとメーターモジュール


1尺というのは30.3cmで、それが3尺になれば約91cmとなります。
(なお、建築業界では長さの単位をcmではなくmmで表すのが通例となっていますので、ここからは910mm、1000mmというように表記させて頂きます。)
この910mmを設計の基本単位としているのが『尺モジュール』で、それに対し1000mmを基本単位としたものを『メーターモジュール』といいます。
基本的に間取りの設計にはこのどちらかのモジュールが用いられ、どちらを使うかは各住宅会社によって判断が分かれています。

日本に昔から根付いている尺貫法に基づいた尺モジュールを採り入れている住宅会社は多く、弊社もそのひとつとなっています。


モジュールの違いによる間取りの比較


上の画像は尺モジュールとメーターモジュールでそれぞれ設計した際の和室となっています。
910mmを基本とした尺モジュールで6帖の和室を設計すると、長辺3640mm×短辺2730mmとなりますが、メーターモジュール下ではそれが長辺4000mm×短辺3000mmとなり、実質的には7.2帖の和室となります。

同様に尺モジュールの4.5帖(2730mm×2730mm)の部屋はメーターモジュールでは5.4帖(3000mm×3000mm)、8帖(3640mm×3640mm)の部屋は9.6帖(4000mm×4000mm)と1.2倍の広さがメーターモジュールでは確保できます。


メーターモジュールのメリット



このように、広さを確保できる点はメーターモジュールの大きなメリットと言え、その利点が如何なく発揮されるのが廊下や階段、トイレといったスペースです。
これらの空間は基本的に尺モジュールで言えば910mm幅で設計されることが多く、メーターモジュールになるとその幅が1000mmとなります。

たかだか10cmにも満たない幅の差ですが、手摺りを設置したり、或いは車椅子での通行を考えたときにはその10cmが大きなアドバンテージとなります。

その反面、寝室や子供室などの、今ではそれほど広さを必要としない傾向にある部屋までも大きくなり、結果的に建物全体の大きさが膨れ上がってそれが金額面に跳ね返ってくるのはデメリットと言えるかもしれません。


尺モジュールのメリット



階段幅や廊下幅がメーターモジュールに比べて狭い・・・この点がマイナス評価であることは認めざるを得ませんが、たとえばセンターリビングのような廊下の少ない間取りを設計したり、階段の壁をアイアンのスリットにしたりすることで、ある程度のデメリット解消が見込めます。
それに尺モジュールの廊下を車椅子が通れないかと言えばそんなことはなく、メーターモジュールの方が余裕があるというだけの話です。

廊下幅なんかに関してはメーターモジュールに及ばないものの、今もって尺モジュールが設計の主流となっているのにはそこにメリットがあるからです。

先程の『モジュールの違いによる間取りの比較』の段で、メーターモジュールの間取りは尺モジュールの2割増しになると解説しました。
それに当てはめると尺モジュールの30坪のお家はメーターモジュールの設計では36坪となります。
大きさが6坪も違ってくると価格面でも相当な差が出てきますから、物価が高騰している昨今では不必要なところまで広くしなくて済む尺モジュールは、建てやすい設計単位だと言えるのではないでしょうか。

また、メーターモジュールに比べてコンパクトだということは、尺モジュールが狭小地に強いモジュールだということを意味します。
100坪もあるような広々とした土地に建てる場合は別ですが、間口や奥行きが限られた土地の中で家を建てるときにはトイレや階段、廊下など無理に広げなくていいようなところは極力、最低限の広さで設計したいものですからね。

あと、これは余談になりますが、ホームセンターの資材コーナーなんかを覗いてみると、世の中は尺モジュール推しなのかなって感じがします。
売っているプラスターボードやコンパネなんかの寸法は910×1820っていうのがほとんどですし、1000×2000という寸法のものはなかなかお目に掛かれません。

それとか、大手の水廻り設備メーカーのショールームでも尺モジュール推しが見て取れますよ。
注目するのはお風呂です。
尺モジュールにおいてお風呂は1616というサイズが主流です。1820×1820の間取りの中にこのサイズのものを設置するのですが、メーターモジュールでは2000×2000の中に1818というサイズのユニットバスを設置します。
・・・で、ショールームに展示してあるお風呂の大多数は1616サイズのものなのです。

このようにプラスターボードにせよ、ユニットバスにせよ、流通量が多いということは将来的なリフォームにおいても材料が確保しやすいということにもつながっており、この点も尺モジュールの大きなメリット言えそうです。




この記事の作成者

工務アシスタント 栗田 和

宅地建物取引士
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